浜松在住の女性(65歳)Mさんの耳鳴りと漢方的なアプローチについて

浜松市の女性の耳鳴りへの東洋医学定な対処について

― Mさん(65歳・主婦)の耳鳴り改善経過から学ぶ ―

浜松で耳鳴りやめまいにお困りの方へ。

病院で「神経や聴覚には異常なし」「とにかく慣れてください」と言われても、止まらないキーンという音に悩まれている方は少なくありません。

この記事では、漢方薬局にご相談に来られた65歳女性(Mさん)の耳鳴りの経過をもとに、

耳鳴りが起こる一般的なメカニズムと、体全体のバランスを整えるための考え方を詳しくお伝えします

目次

はじめに

「耳鳴り」と一言で言っても、その正体は複雑で、人によって原因も感じ方も大きく異なります。


静かな場所にいくと、キーンという音が止まらず、会話や睡眠など日常生活にも支障が出てしまう―そんなお悩みを抱える方は少なくありません。

現代医学でも耳鳴りの完全な仕組みは解明されておらず、薬やリハビリでの改善を試みても「慣れるしかない」と言われてしまうこともあります。


一方、漢方や東洋医学では耳鳴りを「体全体のバランスの乱れ」としてとらえ、全身の調整を重視ししていき、耳鳴りの改善を図っていきます。

今回ご紹介するのは、当店にご相談に来られた**Mさん(65歳・主婦)**のケースです。
西洋医学的な耳鳴りのメカニズムと、漢方的な視点の両方からその経過を振り返ってみなさんにお伝えさせて頂きます!


耳鳴りの一般的なメカニズム

まず、耳鳴りが「どこで」「なぜ」起こるのかを簡単に整理しておきましょう。

耳は大きく「外耳」「中耳」「内耳」の3つの構造に分かれます。

よく「外耳炎」や「中耳炎」などとお聞きすることがあるかと思います。


外耳は音を集める部分で、耳の穴から細くに、中耳は鼓膜から伝わる振動を小さな骨(耳小骨)で増幅し、内耳はその振動を電気信号に変換して脳へ送ります。
下の図はその構造を示したものです。

(図①:外耳・中耳・内耳の構造図)

1. 内耳(蝸牛)の有毛細胞の過興奮

内耳の「蝸牛(かぎゅう)」には、音の振動を電気信号に変える「有毛細胞」が並んでいます。
この細胞が何らかの原因で損傷したり、血流が悪化して酸素や栄養が不足すると、実際には音がないのに異常な電気信号を出してしまうことがあります。
脳はそれを「音」と誤認識し、キーン・ピーといった高音性の耳鳴りとして感じます。

(図②:有毛細胞の過興奮のイラスト)

この過興奮を招く要因としては、

  • 加齢による神経膜(髄鞘)の変性
  • 騒音やストレスによる聴神経の疲労
  • ウイルス感染後や炎症の残り
  • 血流や酸素供給の不足

などが挙げられます。

2. 三半規管・内リンパの浮腫

内耳には、蝸牛のほかに「三半規管」や「前庭」と呼ばれる平衡感覚を司る器官があります。
この部分にリンパ液が過剰に溜まり、むくんだような状態(内リンパ水腫)が起こると、
めまいや低音性の「ゴー」「ブーン」といった耳鳴りが生じやすくなります。

(図③:三半規管の浮腫イラスト)

水分代謝の低下、自律神経の乱れ、塩分過多、ストレスなどが背景にあることが多いです。

3. 血管の変化・血流の障害

耳や脳へつながる細い血管が、コレステロールや中性脂肪の増加で硬くなったり、血液が粘くなると、
内耳や神経へ届く血流が不足します。
これにより神経が過敏になり、拍動に合わせて「ドクドク」と感じる拍動性耳鳴りや、高音性の耳鳴りが起こります。


Mさんの経過概要

Mさんは4月のある日、突然「ぐるぐる回るような回転性のめまい」を発症。
その直後から「キーン」と高音が鳴り続けるようになりました。

病院での投薬によりめまいは3週間ほどで落ち着いたものの、耳鳴りだけは止まらず、
朝から晩まで途切れず続き、精神的にも強いストレスとなっていました。

複数の病院を受診されても「異常なし」「慣れてください」と言われるばかりで、
「慣れようとしても到底無理な音量です」と、当店に相談に来られました。


Mさんの耳鳴りタイプの分析

耳鳴りのタイプ別考察

耳鳴りには多くのタイプがあり、それぞれ関わる要因が異なります。
Mさんの耳鳴りを理解するために、まず一般的な耳鳴りの分類を整理してみましょう。

音の特徴想定される主な関係要因東洋医学的背景
① キーン・ピーなど高音有毛細胞や聴神経の過興奮、加齢性変化「腎虚」や「肝の過亢」
② ゴー・ブーンなど低音血流障害・内リンパ水腫・自律神経失調「痰湿」や「水滞」
③ 拍動性のリズム音血管の狭窄や動脈硬化傾向「瘀血」や「血の滞り」
④ ザー・シャーなどノイズ型ストレス・脳の感覚過敏「気の乱れ」・「肝気鬱結」

Mさんの場合、「キーン」という高音と、「ゴー」という低音の両方が聞こえる状態でした。
つまり、神経の興奮性と内耳の循環障害の両方が関係していた可能性があります。


Mさんの体質と背景

Mさんはもともと大きな病気もなく、病院にかかることもほとんどなかったそうです。
ただし、血液検査では次のような数値が見られました。

  • LDLコレステロール:202
  • HDLコレステロール:60
    LH比3.3とやや高め

また、パン・乳製品を多く摂る傾向があり、舌の色は赤く(紅舌)、体内に炎症や熱がこもっている状態でした。


第1段階:炎症と代謝の改善

まずは「耳」に働きかける前に、体の炎症と代謝バランスを整えることにしました。

炎症が強いと、せっかくの栄養も修復のために使われ、耳や神経まで届かなくなります。

実施した方向性

  1. 体内デトックスのサポート
     ワクチン後の体負担を軽減し、免疫バランスを整える目的。
  2. 食事内容の見直し
     パン・乳製品を減らし、米・味噌汁・小魚・野菜・肉など日本型の食事に。
     加工油や揚げ物を控え、自然の油を使用。
  3. 炎症を鎮める方向の漢方的ケア
     体の「熱」を冷まし、栄養漏出を防ぐ。

約3週間後、Mさんは「頭の中のザワザワが減って軽くなった」と話されました。
舌の赤みも和らぎ、炎症が落ち着き始めてきたことをご本人も少しずつ体感されてきたそうです。


第2段階:耳への血流・リンパの巡りを整える

次に、内耳の循環を改善する方向で、
「リンパの滞りを除く漢方」と「血を巡らせる漢方」を組み合わせました。

2週間ほど経った頃くらいに

「朝から一日中、耳鳴りが全く鳴らない日がありました」
という嬉しい報告がありました!

午後になると軽くなる日も増え、確かな変化が見えてきました。


夏の停滞期と心臓の関わり

このまま少しずつ耳鳴りが止む日が増えてくるといいなと思っているところでしたが

7月に入り、気温上昇とともに改善が止まってしまいました。
夏は東洋医学でいう「心」に負担がかかる季節。

Mさんはもともと心臓がやや弱く、血流が十分に耳まで届かなくなっていたようでした。

最初の方のぐるぐると回る回転性のめまいも、主な原因として血流不足が考えることができます。栄養不足や血液不足によっても起きてしまいます。


そこで、耳のケアを一時的に控え、腸内環境の改善と栄養吸収力の回復を優先しました。

消化吸収が高まれば、耳や神経への栄養供給も回復します。

Mさんからすると、少し不安が大きくなってしまった時期となってしまいましたが、基礎作りをしたいというこちらの方針にしっかりと同意をいただきやって頂きました。


秋の再加速 ― 腸と血流が整ったタイミング

9月、気温が落ち着くと体調に大きな変化が現れました。
7月・8月で腸の調子を良くするサプリメントや漢方などを使っていたこともあり、腸内環境や栄養状態がかなり改善された様子が伺えました。また、本人も下痢や便秘がなくなり、肩こりもしなくなってきたとのことで、血の巡りが明らかに改善したことをおっしゃって頂きました。

そしてなんとこの時は、2週間のうち

  • 耳鳴りが全く聞こえない日:4日
  • 午後になると軽くなる日:5日

合計で半分以上の「良い日」を作ることができてきました。

10月には「週4日ほど耳鳴りが気にならなくなった」との報告があり、
当初の目標(週の半分を快適に過ごす)を達成することができました!


第3段階:神経性の高音への対応

そして当初、ゴーっという低音の方が強く、高音の「キーン音」は気にならない程度だったそうですが、ゴーという音が減ってきたことで、逆に高音の音が耳につくようになってしまってきたそうです。


これは有毛細胞や聴神経の過興奮が関係しているため、
神経の興奮を穏やかにするケア神経鞘(ミエリン)の栄養補給を併用しました。

具体的には、

  • 神経の高ぶりを抑える方向の漢方
  • レシチンやビタミンB群を含む健康食品

を継続。

3週間後には、

「耳鳴りが気にならない日が週4回以上になったのに併せて、聞こえるキーン音がかなり小さくなって日常では忘れるほどになった!」
とご報告をいただきました。

当初の目標はすでに達成しており、ご本人も大変満足頂いているようですが、本人としては、まだまだ頑張っていきたいとのことですので、もう少し処方を続けて完全な回復に向かって対策を進めていくということでお聞きしています。


耳鳴りに関わる多様な要因

耳鳴りは「耳だけの問題」ではなく、全身のさまざまな要因が関係します。

物理的要因

  • 顎関節の炎症、噛みしめ、姿勢の歪み
  • 神経・血管の圧迫

代謝的要因

  • コレステロール・中性脂肪の増加
  • 血糖値上昇による血管障害
  • 血液の粘度上昇(ドロドロ血)
  • 栄養不足・心臓のポンプ力低下

神経・自律神経要因

  • ストレスによる交感神経の緊張
  • 睡眠の乱れ
  • 脳内の感覚過敏化

東洋医学的視点

  • 「腎虚」:加齢や疲労によるエネルギー低下
  • 「肝気鬱結」:ストレスによる気の滞り
  • 「痰湿」:水の巡りが悪く重だるい体質
  • 「瘀血」:血の滞りによる炎症と冷え

まとめ

耳鳴りは、

  • 有毛細胞や聴神経の過興奮
  • 内リンパの浮腫
  • 血流や炎症の滞り
  • 自律神経やストレスの影響

といった多面的な要因が絡み合って起こります。

Mさんのケースのように、体全体を整えながら少しずつバランスを戻していくことで、
確実に変化が見えてくることがあります。

焦らず、体の声を聞きながら取り組むことが大切です。


※本記事は、実際のご相談事例をもとにした体験紹介であり、
特定の診断・治療を目的としたものではありません。

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