舌を見れば体がわかる?―漢方の診断法「舌診」の魅力とは|浜松 漢方相談おくすりのまるはち

舌診の魅力について

みなさんこんにちは!登録販売者の藪と言います。

本日は少し漢方の世界についてみなさんに僕の実例を踏まえて少しご説明していこうかなと思います!

そもそもの話になるのですが・・・漢方は『経験医学』と呼ばれています。

約2000年に渡って、たくさんの人が「あーでもない、こーでもない」といろいろな試行錯誤を重ねて確立された医学なんです。例えば

「この薬草を食べてみたらお通じが良くなった。」

「この薬草を煮て塗ってみたら痛みが和らいだ。」

みたいにして、一個一個の経験の積み上げをどんどんまとめて統合していったことで医学のベースが出来上がり、我々が今知っている漢方医学となっていったわけです。

そして、そんな経験医学は体に現れる「症状」についてもいろんな経験が元になってそのベースが出来上がってくるわけです。例えば・・・

「むくみやすい人は雨の日になると頭が痛くなりやすいぞ。」

「肩こりをよくしている人は、舌の色が紫色だぞ・・・」

という感じで、症状に対して関連する体の症状自体もどんどん積み上がっていくことで、私たちが使っている漢方の問診ができあがったわけです。

で、漢方では、問診を通じて体の内側の状態を把握するために「四診(ししん)」という診断法が確立されてきました。

四診: 4つの漢方での診断方法という意味です。その種類としては・・・

  1. 望診(ぼうしん):視覚による観察。顔色、舌、皮膚などを観察
  2. 聞診(ぶんしん):声や呼吸、体臭などを聴き・嗅ぐ
  3. 問診(もんしん):自覚症状や生活習慣について質問
  4. 切診(せっしん):脈を取ったり、お腹を触る

この中でも、「舌診(ぜっしん)」は望診に含まれる、極めて重要な診断ツールの一つです。

なぜなら、舌は体の内側の状態を見るためにとても有効な手段なんです


目次

舌でわかる体のサイン

舌診では、主に以下のようなポイントを見ていきます:

舌の色

  • 淡い舌色:エネルギー不足(気虚)・血の不足(血虚)・冷え(陽虚)など
  • 赤い舌色:体に熱がこもっている(実熱・陰虚)・炎症・火照り
  • 紫色の舌:血の巡りが悪い(瘀血)・酸素不足・老廃物の停滞

舌苔(ぜったい)

舌の表面にある白っぽい、または黄色っぽい苔を「舌苔(ぜったい)」と呼びます。漢方ではこの苔が『体の中の潤いの状態(胃気)』を示していると考えます。

  • 苔がない・薄い:胃の消化機能の低下、潤い不足、虚弱体質
  • 苔が厚く、ベタついている:消化器に食べ物や水分が停滞、湿熱、痰湿の状態

舌の形や状態

  • 深い溝がある:体の潤い不足、血の不足
  • 舌の周囲に歯型がついている:消化機能が弱い、気の不足、脾虚のサイン

【実例紹介】私の舌で見る健康状態

ここで、実際の私の舌の写真をご覧ください。

私自身の舌をネットに晒します

さぁーちょっと自分の舌をこうしてお見せするのはなんとも恥ずかしいような気もしますが、見てみてください。

写真を撮影した日は6月25日、天気は晴れ、体調も良好です!そんな時の舌の状態がこれです。

特徴をまとめてみると・・・

  • 舌色:赤くもなく、白くもない、比較的良好な状態
  • 舌苔:薄く白い苔。体の中の潤い状態は比較的安定
  • 周囲に歯型:これは典型的な脾気虚(ひきょ)=消化機能の弱さのサインです

僕の場合、舌の周辺にギザギザとした歯型がついているのが見えますか?

舌は本来ずっと歯に当てつけられているため歯型はつきやすいんです。体に「気」というエネルギーがたくさんある人は、歯型がついても押し返せるので歯の痕がつかないんですね。私の場合、漢方的には「気虚(ききょ)」と言う証で、体の中のエネルギー不足の状態が続いており、特に消化器系の弱さが目立つという状態になっています。

私はもともと体力が人よりも少なく、消化器があまり強くありません。食後には眠くなってしまうし、脂っこいものを食べた次の日はとにかく眠くて眠くて仕事に全く集中できません笑

僕の場合、こういった体質がまさに「舌」に現れています。

漢方相談でこのような舌を見た場合は、

  • 胃腸を助ける処方(健脾薬)
  • 体内の余分な水をさばく処方(利水薬)

などを中心に症状に対してアプローチをしていきます。


コロナ感染4日目の舌

今度のこの写真も僕の舌の様子なのですが、上の写真とだいぶ様子が違うのがわかりますか?

実はこの写真を撮った日は、コロナにかかって4日目に撮った自分の舌の写真になります。

この時は、感染して2日目に39度を超え、写真を撮った日もまだ37度後半、まだまだ体に熱がこもっていた状態でした。

で、その時に撮った舌の状態をまとめると・・・

  • 舌色:全体的に赤く、熱がこもっている。若干紫がかっています。
  • 舌苔:黄色みがかっており、舌も厚く、ベタついている
  • その他:舌がテカテカしており、水はけが悪い状態

まさに熱のこもった舌をしており、体内の炎症=実熱と湿熱が混在した状態が舌に反映されています。

驚くべきことに、感染してからたった4日で舌の様子がここまで変わるのです。


舌診は毎日できるセルフチェックツール

舌は毎日鏡で見ることができます。体温や血圧、脈拍と並んで、実はとても簡単にできるセルフ健康チェックツールなんです。

  • 朝起きた時の舌を記録する
  • 食後・運動後の変化を見る
  • 疲れている時と元気な時の違いを比べてみる

体の状態は日々変化しています。舌を観察することで、早めの対策が可能になります。


まとめ|舌は「内臓の鏡」

舌は、単なる味覚器官ではありません。体の中のバランス、熱・水分・血の状態を映す鏡のような存在です。

浜松にある当店「漢方相談おくすりのまるはち」では、舌診を含めた四診を通して、お一人おひとりに合った漢方的アドバイスを行っています。体調が気になる方、なんとなく不調を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。

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