掌蹠膿疱症と漢方的なアプローチについて

掌蹠膿疱症

掌蹠膿疱症と漢方について

こんにちは。今回は、近年増加傾向にある皮膚疾患「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」について、西洋医学と漢方の両面から解説し、当店での考え方と取り組みをご紹介します。

目次

掌蹠膿疱症とは?

掌蹠膿疱症とは、手のひらや足の裏に膿をもった小さな水疱(膿疱)が繰り返しできる慢性の皮膚疾患です。かゆみや痛み、皮膚の赤み、ひび割れなどが見られ、症状が悪化すると痛みや痒みが出てきてしまったり、見た目などの問題で日常生活に支障をきたす皮膚の症状です。子供や恋人と手を繋ぐのに気が引けてしまったりと、命には関係ないと言われがちですが、人の目につく場所に膿疱があることで恥ずかしいと感じ、日常の質を落としてしまいます。

原因と誘因(一般的な見解)

掌蹠膿疱症の原因は完全には解明されていませんが、以下のような要因が関係しているとされています。

  • 自己免疫疾患との関係:免疫システムの異常により、自身の組織を攻撃することで炎症が起きると考えられています。
  • 慢性炎症:扁桃腺炎、歯周病、中耳炎などの慢性感染症が誘因となるケースがあります。
  • 金属アレルギー:特に歯科金属(ニッケル、クロム、金など)との関連が報告されています。
  • 喫煙:特に女性に多く、喫煙が悪化因子であるとの報告があります。

西洋医学的な治療法

西洋医学では、以下のような治療が行われます。

  • ステロイド外用薬やビタミンD3外用薬の塗布
  • 紫外線療法(PUVA療法やナローバンドUVB)
  • 免疫抑制剤(シクロスポリンなど)や生物学的製剤
  • 原因疾患の治療(扁桃摘出や歯科治療など)

ただし、症状が改善しても再発することも多く、根治が難しいとされます。

漢方から見た掌蹠膿疱症の考え方

漢方では、掌蹠膿疱症の背景に「血熱」「湿熱」「瘀血」といった体内のバランスの乱れがあると考えます。

血熱(けつねつ)

体内の血液に熱がこもっている状態です。炎症が長引いたり、肌が赤く熱をもったりする症状と関連します。発疹が赤く、かゆみを伴うタイプです。

対策:清営顆粒(せいえいかりゅう) イスクラの清営顆粒は、血熱を冷まし、皮膚の炎症やかゆみを鎮める処方です。清熱涼血(せいねつりょうけつ)の効能があり、皮膚の赤みや腫れ、熱感を抑えてくれます。

湿熱(しつねつ)

体内にドロドロとした余分な水分である『湿』と『熱』が混在している状態です。滲出液が多く、じゅくじゅくした膿疱が繰り返し出るタイプ。

対策:症状に応じた処方選択

  • 黄連解毒湯:強い炎症とイライラなどを伴う場合
  • 三物黄芩湯:湿疹と熱感、かゆみのバランスを整える
  • 温清飲:血の巡りと炎症の両方に対応
  • 瀉火利湿顆粒:熱と湿を一緒に排出
  • 涼解楽:身体の体表に存在する熱感を排除し、皮膚の痒みをすっきりとさせる

瘀血(おけつ)

血流が滞り、老廃物が蓄積している状態です。皮膚が黒ずんだり、治りが遅いなどの特徴が見られます。

手や足は、人体の皮膚の中でも厚く、頑丈に作られています。掌蹠膿疱症はそんな頑丈に作られている皮膚に出る症状なわけですね。アトピーなどでは、膝裏や肘の内側、内股、首など、比較的弱い皮膚の部分に出やすいですよね。ではなぜその強い「掌蹠(手のひらや足の裏)」という場所になるか、それは動脈と静脈が入れ替わる場所であるからというようにも捉えられているようです。

血液の流れが悪くなったり、ドロドロとした血液状態のことを漢方では瘀血と呼びます。

→ 瘀血の改善には、冠元顆粒、桂枝茯苓丸、水蛭製剤などが使用される場合があります。

扁桃炎や副鼻腔炎がある場合

掌蹠膿疱症の考えられる原因の一つに体内の慢性炎症、特に喉や鼻の炎症が関係していると考えられる場合があります。その場合には、まず炎症の元となっている部分に注力して考えるため、以下の処方を組み合わせることがあります。

  • 柴胡清肝湯:ストレスや肝の熱を取り除き、喉の炎症を改善
  • 荊芥連翹湯:皮膚と喉の両方に作用し、炎症を鎮める
  • 辛夷清肺湯:副鼻腔の熱を取り去り、鼻通を改善

当店(漢方相談 おくすりのまるはち)の掌蹠膿疱症に対する取り組み

私たちは、掌蹠膿疱症を単なる皮膚疾患とは考えません。掌蹠膿疱症はあくまで内因性の皮膚疾患なので外からの治療自体をするより、中を綺麗にすることで解決を考えていくという流れです。

滲出液の正体とは?

膿や滲出液は、体内の免疫細胞の残骸や、炎症性サイトカインが皮膚から排出されたものと捉えることができます。つまり、体内に炎症が存在し、その炎症反応や、それに対する免疫反応の結果として生まれた老廃物を排出するために膿や滲出液が出てきていると考えます。

当店の方針

  1. 測定機器を使って炎症の部位や種類を特定
  2. 体質に合わせた漢方薬を処方
  3. 必要に応じて健康食品を併用
  4. ジュクジュクの元を断つことを目指す

このステップを踏んでいくことで、体の内側からの解決を目指すことで、再発の予防に努めることもできます。

重金属の蓄積と排出

掌蹠膿疱症の方の中には、金属アレルギーや体内の重金属蓄積が見られるケースも多くあります。当店では測定機器により、重金属の影響をチェックし、必要に応じて ゴッドクリーナー(足湯型のデトックス機器)を使用し、体の中から毒素を排出するお手伝いもしています。詳細は以下から

ストレスとの関係

ストレスが誘因になっている方には、「疏肝(そかん)」作用を持つ漢方薬(柴胡加竜骨牡蛎湯など)を用いて、自律神経のバランスを整え、心身の調和を図ることも考えながら最終的な処方を決めていきます。

症例のご紹介

当店に掌蹠膿疱症で相談に来られた女性の方の症例を一例ご紹介させて頂きます。

40代の女性の方で、手の痛みと痒み、掻くとジュクジュクとした液体が出てくるとのことでご来店いただきました。

お話を聞いていくと、もともと喉が弱く、風邪をひきやすいとのことでした。

お店に相談に来られた時も喉の痛みを感じておられて、病院には行っていないが扁桃や咽頭のあたりに痛みがあるとのことでした。

当店の測定機器でチェックをしてみたところ、やはり扁桃、咽頭のトラブルの可能性が大きく出ており、体全体の免疫も少し弱っているように見受けられました。

そのこともあり、相談自体は掌蹠膿疱症とのことで皮膚の相談だったのですが、病気の元である喉をどうにかしない限り体の中の炎症が治らず掌蹠膿疱症自体も治らないだろうと思い、まずは喉の治療に専念することに。

喉の方へのお薬として漢方薬を2種類、あとは健康食品を1種類お出しさせていただきました。

2週間してご来店された時には、少し肌の状態も和らいでいました。

皮膚に作用するお薬は特に出しておらず、喉を中心に見ていくことをしたことで、皮膚の方もこれだけ安定させることができました。その後も喉の症状を中心に解決していく方針を変えず、また3週間分の漢方薬を処方させていただきました。

3週間後には膿疱自体は消え、あとは肌を綺麗にしていくだけというステージまで持っていくことができました。

まだ喉の炎症が残っている可能性があるので、扁桃炎や咽頭炎には日常的に気をつけていただくようにご注意いただくようにしました。

肌に対して直接働かせるような漢方薬や、ステロイドのように外から炎症を抑えるような薬を使うことなく、これだけの短期間で結果が出たことは私自身も驚きましたが、やはり皮膚の病気は皮膚といえども体の中で起こっているものが結果として皮膚に現れているだけであり、体の中を綺麗にすることでこのように解決していくことができるんだなと私自身も勉強になった症例でした。

まとめ

掌蹠膿疱症は、体の内側の炎症反応や免疫の乱れから現れる症状であり、皮膚だけの治療では根本的な解決が難しい場合があります。「漢方相談 おくすりのまるはち」では、浜松地域の皆さまの健康を第一に考え、体質や生活習慣に合わせた漢方的アプローチを通じて、改善を目指しています。

掌蹠膿疱症でお困りの方は、ぜひ一度漢方相談にてまるはちにいらしてくださいね!

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