滲出性中耳炎と漢方について

春先の花粉症のひどい時期や、疲れが重なり鼻風邪を引いてしまった時

なかなか治らず、鼻の詰まりがさらに悪化し耳まで聞こえが悪くなってきたことはありませんか?

「あーーー」っと言葉を発すると耳の中で響く感じがしたり、テレビを見る時も、音楽を聞く時も、音を大きくしないと聞こえなくなってしまっているなど

鼻詰まり、耳詰まりと簡単に言っても、この辛い症状は毎日の生活の質を著しく落としてしまいますよね。

病院へ行くと、こういった症状に「滲出性中耳炎」という診断名が付くことが多いです。

この滲出性中耳炎に対して漢方の見解では「痰飲」や「湿熱」という病理産物が耳や肺に停滞している状態だと考えることができます。

 

目次

滲出性中耳炎ってどういう病気?

滲出性中耳炎とは、耳の鼓膜の内側にある「中耳」という部位に「滲出液」というネチョっと粘り気のある液体が溜まってしまい、耳の機能に影響を及ぼしてしまう病気です。

耳の構造の画像

痛みがある場合はほとんどなく、とにかく耳が聞こえにくくなり、耳の中に水が入ってしまった時のような感覚が四六時中続くといった病状であることが多いのが特徴です。

病気の原因としては、免疫力の低下や、花粉症や鼻風邪、感染症をこじらせてしまうことで、副鼻腔炎などの粘膜の炎症などをきっかけに、急性中耳炎となり、炎症の際に生み出された膿みが排出できず耳に溜まってしまうことで起きることが多いようです。

本来であれば、炎症が治ると膿みは、滲出液となって、粘膜から吸収されたり、耳管を通り鼻や喉の方へ落ちていくことで緩解していくことが多く、約1ヶ月ほどで症状として落ち着くことが一般的です。

 

一般的な滲出性中耳炎の対策

現代医学では、滲出性中耳炎への対策として主に抗生物質などの殺菌薬や、消炎剤や抗アレルギー剤などといった中耳炎の原因となっているものを抑える働きをもつ薬でまずは原因を取り除くという対策をします。

消炎剤や殺菌剤で緩解しない場合や、滲出液がなかなか引かない場合には、鼓膜の切開をして直接滲出液を出すといった対策を取ることもあります。一般的に切開後の鼓膜は元通りになると言われていますが、一時的に聞こえが悪くなったりすることもあるので事前に医療機関との密なコミュニケーションをする必要があります。

 

 

漢方的な対策

「病院で切開って言われたけれど・・・」

という方に、切開をする前によければ漢方を試すという第三の選択肢を持つのはいかがでしょうか?

漢方医学も現代医学もお互いに万能ではありませんが、お互いの苦手分野を補うように様々な不定愁訴に合わせてお互いの得意分野を使っていくことが望ましいですね。

漢方医学では滲出性中耳炎を「湿熱」という病理産物が、耳の中に溜まっている状態として捉え、漢方薬を処方させて頂くケースが多いです。

 

湿熱とは?

湿熱とは、「湿」と「熱」という状態が一緒になってしまった状態です。

湿:体内の余分な水分を指し、体の中に水たまりを作ってしまっている状態

熱:炎症などの総称となっており、身体が熱を持っている状態

この湿と熱が同時に起こっている病態を「湿熱」と呼びます。

湿熱は身体のなかで、ドロドロとした形になってしまっており、ヘドロのように身体のあちこちに張り付いたり、溜まったりしています。

本来であれば、体内の「水」や「熱」は必要な場所へスイスイと流れていくことで、それぞれの役割を果たしていますが、ヘドロのようになることで体の正常な動きを妨げてしまったり、耳や鼻、肺、腸内など、本来溜まるべきではない部分へ溜まってしまいます。

 

この「湿熱」が耳の中で溜まっているものが滲出性中耳炎であると考えます。

 

キーワードは「清熱利湿」

耳の中に溜まってしまった湿熱を取り除くには、漢方では「清熱利湿」という方法を考えます。

清熱:熱を鎮めること、炎症を抑えたり、殺菌する

利湿:体の中に溜まった余分な水を体の外に追い出す

漢方薬ではこれらの症状に、柴苓湯、黄連解毒湯、柴胡清肝湯、荊芥連翹湯といったものをチョイスしたり、まだ黄色い痰や鼻詰まりが続く場合は辛夷清肺湯や頂調顆粒などでまずは、鼻の症状や副鼻腔の炎症を抑えることを優先したりすることがあります。

 

黄連解毒湯と頂調顆粒

詳しくはぜひ一度ご相談にいらしてくださいね。

 

漢方相談おくすりのまるはち

静岡県浜松市中央区三和町789

予約のお電話 053−469−9308

担当者:藪彰杜(やぶあきと)

 

 

 

 

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